静御前の恋人である源義経役で特別出演して下さいましたのは、重要無形文化財総合指定保持者の金春流能楽師・山中一馬氏。
雪積もる吉野山で源義経は静御前へ金銀を渡して生き別れとなるのですが、女心としてどうしても「形見」を渡して欲しくなりました。
山中一馬氏にたずねましたら、形見として渡すであろう者は「太刀」!
しかも護身用というよりも「死ね」という意味がこめられているのです!
お守り下さる殿方がいなければ貞操も命も守られない時代、愛し合うことそのものが命がけでしたことでしょう!
その象徴の「太刀」を強調した演出舞台にしました。
3つの場面に太刀が出てきます。
1つ目は吉野山で生き別れとなる場面で太刀を託される場面。
2つ目は、裏切り者の護衛たちから金銀を奪われようとも「太刀」だけは渡さずに死守してうずくまる場面。 3つ目は幽閉された鎌倉で義経を想い寂しく舞い終わると太刀を抱きしめて涙する場面。
金銀などいらないから、身ごもっていた男の子を生み育てたかったでしょう!